御蔵島が、イルカが、そして自然や生き物が大好きな皆さんへ

東京都心の南約200kmに浮かぶ御蔵島。この島に行ったことのある皆さんの多くは、島の周囲に定住するミナミハンドウイルカに会いに行かれたのではないかと思います。1990年代前半から始まった御蔵島の「ドルフィンスイム」は、多くの熱烈なファンやリピーターを生み出し、御蔵島は、小笠原と並ぶ「エコツーリズムの島」として、一躍脚光を浴びることになりました。御蔵島でのイルカとの出会いにより、生き物や自然を大切にすることの大事さを教わった人は、とても多いのではないかと思います。

さて、小さいのに標高850mの急峻な山を持つこの島は、雨雲が発生しやすく、平均年間降水量は東京都心の2倍(約3000mm)にもなります。その豊富な水は、巨木の森を育み、森に棲む希少な生き物を育み、森から流れ出る豊富な養分を含んだ水は、私たちが愛して止まないイルカなど海の生き物たちをも育んできました。そんな中でも、御蔵島の豊かな自然を代表する生き物といえば、オオミズナギドリではないでしょうか?御蔵島は、オオミズナギドリの世界最大の繁殖地なのです。

御蔵島の人たちは、昔からオオミズナギドリを貴重なタンパク源としながらも、捕獲には厳しい自主ルールを作って大切に守り続けてきました。1970年代には推定175~350万羽が御蔵島で暮らしていたと考えられています。しかしここ10数年でオオミズナギドリは激減し、御蔵島では絶滅の恐れが出てきました。人間が持ち込んだネコが野生化して、オオミズナギドリを襲うようになったからです。鳥類の研究者や御蔵島村はネコを減らすための対策を考え実施してきましたが、なかなか効果は上がらず、オオミズナギドリは2012年には推定77万羽まで減ってしまいました。そして、環境省生物多様性センターが昨年に行った調査によると、繁殖数は推定11万7千羽まで落ち込んでいます。

御蔵島の宿や観光案内所で、こんなポスターを見たことはないでしょうか?ネコ対策で御蔵島に協力している東京都獣医師会が作成したポスターです。このポスターには、こんなことが書いてあります。

 

「人・鳥・ネコ、共に安心して暮らせる島とは…いのちつながれ御蔵島」

 

ネコを御蔵島に持ち込み山に放してしてしまったのは私たち人間で、ネコたちには何の罪もありません。だから行政も獣医師会も研究者も、ネコを殺さないでオオミズナギドリを救う方法を考えています。それはとても難しいことですが、やらなければならないことです。でも同時に、行政や獣医師会や研究者の力だけでは達成できないことでもあります。

御蔵島を愛し、イルカを愛し、自然と生き物を愛する私たちだからこそできることを、一緒に考えていきませんか?