オオミズナギドリと野生化したネコの今

(2019年5月19更新)

イルカと泳げる島として人気の伊豆諸島・御蔵島は、オオミズナギドリの世界最大の繁殖地でもあります。春から夏にかけてドルフィンスイムに訪れた皆さんは、夜に大きな声で鳴きながら飛びまわる姿や、道路をよちよち歩いている姿を見かけたことがあるのではないでしょうか?

しかし近年、人間が持ち込んだネコが野生化し、オオミズナギドリたちを脅かしています。1970年代には推定175~350万羽だったのが、2012年夏には77万羽にまで減ってしまいました。そして、環境省生物多様性センターが昨年に行った調査によると、繁殖数は推定11万7千羽まで落ち込んでいます。長年御蔵島のオオミズナギドリを研究している山階鳥類研究所の岡奈理子さんは、このままでは20〜30年でオオミズナギドリは御蔵島から姿を消してしまうだろう、と警鐘を鳴らしています。

岡さんは、初めて御蔵島を訪れた1970年代後半以後、オオミズナギドリの集団繁殖地でネコを見なかったと言います。しかし2000年代に入り、状況は変わります。ネコと鳥の死体が頻繁に見られるようになったのです。2005年には、鶏小屋がネコに襲われ全滅するということもありました。採取したネコの糞には、羽毛が混じるようになりました。このオオミズナギドリの「首無し死体」は、若いネコの狩猟練習によるものと考えられています。

 

これ以降、御蔵島村では、野生化したネコを捕獲して不妊去勢手術を施し森に返す「TNR」という方法でネコの減少を図ってきました。10年間で不妊去勢手術を施した数は約4百頭にのぼります。しかしTNRで森に返されたネコたちは、子猫を生むことはできなくても、本来長寿命な動物のため、オオミズナギドリの脅威であることに変わりはありません。しかも、外敵がおらず餌も水も豊富な御蔵島はネコが生きていくのに適した環境であると考えられています。森の中に仕掛けられた監視カメラに映るネコたちは、栄養状態の良さそうな個体が多いそうです。監視カメラの映像データの分析結果などから、野生化したネコの数は現在500~2000と推定されています。 

 

結局、TNR(不妊去勢手術~再放獣)という方法では大きな効果は得られず、岡さんは役場が保管するネコの捕獲データを分析し、現状と見通しを役場に説明し、東京都獣医師会などに協力を要請しました。そして2015年より御蔵島の野生化ネコ対策は、従来の「不妊去勢手術後に再放獣」の他に「島外に持出して飼い主探し」が加わることになるのです。こうして、山階鳥類研究所、御蔵島村、東京都獣医師会の協力により、捕獲したネコの一部を本土に運び飼い主を探す「御蔵島ノネコ里親プロジェクト」が始まりました。 2016年度は年間15頭のネコが持ち出され、東京都獣医師会の協力病院が不妊去勢手術やワクチン接種などの医療措置と馴化訓練を行い、新しい家族の元へと譲渡されました。 

一方で日本鳥類学会鳥類保護委員会は、2016年11月に野生化したネコの捕獲を求める要望書を環境大臣、東京都知事、御蔵島村長宛てに提出しました

 

2017年12月からは、私たちの会でも、御蔵島村からの委託を受けてネコの捕獲・持ち出し・馴化訓練・飼い主さん探しを行っています。馴化訓練と飼い主さん探しについては、まだ不妊去勢手術を受けていないネコたちを東京都獣医師会が担当し、TNRによって既に不妊去勢手術を受けているネコを私たちが担当しています。

前述の通り、TNRされたネコは繁殖力がなくともオオミズナギドリの脅威であることは間違いなく、今後はTNRされたネコも、できるかぎり森から連れ出す方針で考えています。ちなみに、2018年3月までに私たちが森から連れ出したネコは、34頭でした。自分たちで捕獲を行ってみて感じたことは、森の奥深くに暮らす野生化ネコたちを捕まえるためには、まだまだ工夫が必要であるということ。継続的に試行錯誤をしながら、より効果的な捕獲方法を探っていきたいと思います。

 

私たちが連れ出した野生化ネコたちは、当会スタッフの自宅や、協力団体である「高円寺ニャンダラーズ」の事務所、保護猫カフェ「たまゆら」、一時預かりボランティアさんのお宅、東京都獣医師会の協力病院などで、それぞれ人に馴れる訓練をしています。ネコによってかなり個体差はありますが、ほとんどのネコは既に普通の家ネコと同じくらいに人に馴れていて、「野生で生きてきた大人のネコは人には懐かない」というジンクス(?)は、ただの思い込みにすぎないのかもしれないと感じています。

 

※一時預かりボランティアにご興味がある方は、こちらをご覧ください。

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わたしたちにできることって、何だろう?


オオミズナギドリと野生化ネコのことを知る、そして伝える

まずは御蔵島のオオミズナギドリや野生化したネコの問題について、興味を持っていただくだけでもOK。私たちのホームページやFacebookでも、様々な情報を発信しています。お知りになったことを、ぜひご家族やお友達にも、お話ししてみてください。

また御蔵島ではオオミズナギドリの観察ツアーも開催されています。夜間の実施(約2時間)なので、ドルフィンスイムから帰ってゆっくり休んでから参加することができます。ぜひ一度参加して、オオミズナギドリのユーモラスな生態を楽しんでください。

ツアーに参加した時のレポートはこちら
◆オオミズナギドリ観察ツアーのお問合せ・申し込み先 菱井徹(東京都認定ガイド) 電話 090-8010-8056

Facebookグループ「森ネコひろば」
日本各地の野生化ネコを家族に迎えたり、一時預かりをしたりしている方が、ネコとの暮らしぶりの紹介や情報交換をするためのサイトを開設しました。御蔵島ネコの魅力も満載です♪
https://m.facebook.com/groups/555057494850209
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★チラシデータを提供しています

【チラシ】御蔵島のオオミズナギドリを守りたい_2018年11月15日版(PDF 41,594KB)

【チラシ】森ネコと暮らしてみませんか?_2018年11月15日版(PDF 35,627KB )

※下記の写真は閲覧用のサンプルとなります。印刷される場合は上記のリンクからPDFデータをダウンロードしてお使いください。



ネコの飼い主になる、飼い主募集情報を他の人に伝える

御蔵島で捕獲されたネコたちは、私たちの会と、御蔵島村から委託を受けた東京都獣医師会所属の協力病院で、不妊去勢手術やワクチン接種、各種の検査、人に馴れる訓練などを受けてから飼い主募集が行われます。私たちの会では、ホームページとFacebookに飼い主募集の情報を掲載しています。
これからネコと一緒に暮らしたい、とお考えの方、御蔵島のネコたちを、家族に迎えてみませんか?また「いきなり飼うのはちょっと不安なんだけど…」と思っている方は、「一時預かりボランティア」から始めてみるのもオススメです。また、周りに「ネコ飼いたい!」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ御蔵島出身のネコをお勧めしてみてください。
当会の飼い主募集情報ページはこちら


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